裁判では、一審と控訴審が同じ証拠である限り、基本的に一審で決定したことが覆ることはありませんが、僅かながら控訴審で覆るケースもあります。
こちらのページでは、一度は敗訴したものの、控訴審で覆り離婚が認められたケースを紹介します。
目次
相談者:40代女性
配偶者:夫、子供2人
相談者は会社員のAさん。
20代のときに結婚し、2人の子どもにも恵まれました。
しかし、価値観の違いが徐々に浮き彫りとなり、結婚生活15年目に離婚を決意しました。
3年間別居したものの、子どもの将来があるからと夫は離婚を断固拒否。
調停もうまくいかず、裁判となりました。
離婚したい理由が「価値観の違い」のため原因としては弱く、一審は離婚請求を棄却され敗訴しました。
敗訴を受けて、Aさんはもちろん控訴。
夫婦の破綻を決定づけるために、別居期間を強調しました。
2審でみごとに離婚が成立しました。
暴力や浮気などといった具体的な理由がない場合、いかに夫婦関係が破綻しているのか、客観的な事実を強調する必要があります。
特に、別居期間が長ければ長いほど破綻していると認められやすくなります。
ただし『何年以上別居をすれば婚姻生活は破綻していると認められる』といった、はっきりとした定義があるわけではありません。
相談者:30代女性
配偶者:夫、子供2人
相談者は専業主婦のBさん。
浮気をした夫に愛想を尽かし、離婚を決意しました。
離婚訴訟を提起しましたが、なんと一審では証拠不十分として棄却。
どうすれば良いのか困っていました。
とにかく何か証拠になるものがないか、もう一度探してもらいました。
実はBさんは日記をつけており、そのなかで最近夫が怪しいことなど細かに書いていたのです。
二審で日記を提出
。
結果、離婚が認められました。
相手の浮気や暴力など、決定的な理由がある場合は、証拠を集めると勝訴に近づきます。
メールや写真などがなくとも、日記やレシートなど、どんなものでも証拠になりえます。
今回のケースは完全に準備不足でした。
離婚を決意したら、まずはこちらが有利になるように証拠を集めましょう。
相談者:50代女性
配偶者:夫、子供3人
相談者は夫との離婚を決意したCさん。
長年一緒に住んできましたが、子供も成人を迎え役割を終えたと離婚届を夫に渡しました。
夫は「これからは2人の時間」と思っていたようで、離婚を拒否。
調停でも話し合いが進まず……とうとう離婚の可否を裁判所に委ねることになりました。
一審は離婚原因事実がなく敗訴。
その後、調停や訴訟中の夫との話し合いのなかで、2人の価値観のズレなどが明確になったことを控訴審で主張。
様々な事情が重なり、見事に離婚が成立しました。
諦めずに戦い続けたことが離婚に繋がったのです。
決定的な理由がなくても、離婚が成立する場合があります。
調停中や裁判中の2人がどんな状態だったのかも考慮されますので、証拠として使えるものはどんどん使いましょう。
上で紹介したような控訴審で覆るケースは例外です。
一審で負けると、控訴審の間に離婚原因に至った証拠を集めるのは時間的に非常に厳しいものがあります。
個人ではどうすることもできないので、弁護士や司法書士などにお願いするしかありません。
調停や裁判前に、しっかりと証拠を集めて一審で負けないように準備しておきましょう。
いかに夫婦関係が破綻しているのか調停員や裁判官にアピールしなければ、離婚成立には勝ち取れません。
明確な証拠がないのならば、一度別居をしてみるのもよいでしょう。
別居期間も夫婦関係の破綻の要因として認められる可能性があります。