略奪婚により慰謝料請求を受けたものの、低額な支払いで解決した事例をご紹介します。略奪婚を理由とした慰謝料支払いでは、不倫交際から婚姻に発展した2人に対して支払義務が生じることから、請求金額を低額に抑えられる可能性もあります。請求を受けた際の適切な対処法とともに、一般的な相場についても知った上で対応にあたってください。
目次
ご相談の経緯をご紹介します。
ご相談者様は約3年間の不倫の末、略奪婚に成功した30代・既婚女性です。結婚から3か月後に夫の元配偶者から慰謝料300万円を請求されたとのことで、支払いの必要性や金額の妥当性などがわからず相談に至ったとのことでした。
今回の事例は次のように解決しました。
ご相談者様は、夫が元配偶者へ慰謝料を支払っていることを主張しました。すでに支払われていた慰謝料が200万円であったことから、ご相談者様への請求金額は支払い済みの200万円を差し引いた、100万円の支払いで問題解決に至っています。
略奪婚における慰謝料の相場について解説します。
略奪婚の慰謝料相場は200~300万円程度です。不倫で離婚に至った場合の慰謝料相場と同等ですが、事情によっては200~300万円より高額になることもあります。略奪婚は高額な慰謝料を請求される事案であるといえるでしょう。
慰謝料の支払い義務は略奪婚をした2人が負います。略奪婚により被害を受けた側は、慰謝料を2人に請求することができますが、回収できる慰謝料の総額は変わりません。不倫による慰謝料の金額が300万円と評価されり場合は、双方から回収する慰謝料の合計が300万円となり、双方から300万円ずつ、合計600万円を回収できるわけではありません。慰謝料を請求する相手と金額は、被害を受けた側が自由に決められます。不倫相手に300万円、元配偶者に0円、あるいはその反対とすることも可能です。
すでに慰謝料が支払われている場合は、「弁済の抗弁」を主張できます。不倫で被害を受けた側は、慰謝料を双方に請求できるものの、回収できる慰謝料の総額は変わりません。よって、すでに不倫していた一方から慰謝料が支払われている場合、新たに慰謝料を請求されたもう一方は弁済の抗弁を主張できます。弁済の抗弁とは、不倫相手が慰謝料を払っているため、追加の慰謝料請求は不可能であると積極的に主張することです。例えば、不倫相手が慰謝料300万円を支払って離婚、その後に慰謝料を請求されたもののすでに慰謝料は支払われていると主張するケースなどが弁済の抗弁に該当します。返済の抗弁が認められれば、慰謝料の支払義務が消滅すること、あるいは慰謝料請求金額が減額されることなどが考えられます。
略奪婚で慰謝料を請求された方は、まずは法律の専門家に相談してください。配偶者が離婚時に慰謝料を支払っているケースなどでは、慰謝料の支払義務が生じない可能性もあるため、すでに支払われた慰謝料の有無を確認することが先決です。また、慰謝料を減額できる可能性もありますが、判断には法律の知識が必要不可欠となります。法律の専門家に相談をするにより、経緯と現状を踏まえたうえで、最善の解決法を知ることができるはずです。