10年前の浮気で慰謝料請求された方の解決事例をご紹介します。過去の浮気で慰謝料を請求することは可能ですが、時効が完成したことにより、支払義務が消滅しているケースも少なくありません。過去の浮気による慰謝料請求を受けた際には、時効に関して考慮し、支払義務を慎重に判断する必要があります。
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ご相談の経緯をご紹介します。
ご相談者様は、10年前に、会社の同僚と2年間にわたり不倫していた40代・既婚女性です。2人の関係は、相手の妻に浮気が知られたことをきっかけに解消。相手の妻から関係を解消するのであれば、慰謝料は請求しないといわれ別れたそうです。しかしその後、過去の浮気が原因で離婚することになったという理由で、慰謝料300万円を請求されています。10年前の浮気でも慰謝料を払わなければならないのか、法的判断を求めてご相談されたという経緯です。
今回の事例の解決方法について解説します。ご相談者様は、慰謝料を払うことなく浮気問題を解決しました。
元浮気相手の妻から慰謝料を請求されたご相談者様は、時効の援用を主張しました。時効の援用とは、時効の完成で利益を得る人が時効の完成を主張することです。つまり、Aさんは、時効が完成しているので慰謝料を支払う必要はないと元浮気相手の妻に伝えました。
ご相談者様が時効の援用を主張したところ、慰謝料の請求は取り下げられました。相手も時効の完成を理解したためと考えられます。ご相談者様は、慰謝料を支払うことなく10年前の浮気で生じた問題を解決しました。
浮気や不倫における慰謝料の時効については以下のとおりです。
浮気・不倫における慰謝料の時効は、被害者が浮気や不倫の事実を知り加害者を特定した日から原則3年で完成します。つまり、浮気や不倫に気づき浮気相手を特定できた日から3年を超えると、慰謝料請求権はなくなります。浮気や不倫に気づかなかった場合、あるいは加害者を特定できなかった場合は、不貞行為があった日から20年で慰謝料を請求する権利は消滅します。
離婚の慰謝料は、離婚した日が起算日となります。離婚で生じた精神的苦痛に対する慰謝料も時効は3年ですが、浮気や不倫の場合と時効の起算日が異なり、浮気で離婚した場合、浮気から10年経っていても離婚から3年以内であれば慰謝料請求が可能です。ただし、離婚は夫婦で決定する事項であるため、特別な事情がある場合を除き、離婚の慰謝料を浮気相手に請求することはできません。例えば、浮気相手が離婚するように執拗に求めたなどの事情がなければ、浮気相手に離婚の慰謝料を請求することはできないと考えられています。慰謝料の名目によって、時効の起算日が異なる点には注意が必要です。
過去の浮気で慰謝料を請求された方は、法律の専門家に相談し、支払い義務の有無や請求金額の合理性などを判断しましょう。状況により慰謝料を支払わなくてよい可能性もあるため、支払義務や金額の合理性は丁寧に判断しなければなりません。過去の浮気で慰謝料を請求された方は法律の専門家に相談し、個々において最適だと考えられる解決法により対応を進めていくことが重要です。