相談事例を基に、既婚者の子供を妊娠・出産した後の慰謝料増額に関して解説します。不倫により既婚者の子供を妊娠・出産した場合は、妊娠がない場合と比較して請求金額が増額する可能性が高まります。相談事例から、妊娠の有無が慰謝料請求金額にどのような影響を与え得るか知り、納得の上で適切な支払いを行うようにしてください。
目次
ご相談の経緯をご紹介します。
相談に訪れたのは、約2年間にわたり仕事関係の男性と不倫をしていた20代・独身女性です。ご相談者様のお腹には、不倫相手との間に授かった間もなく出産予定の子供がいます。出産を間近に控えた際に、男性の妻に不倫が知られることとなり、慰謝料500万円を請求され、不倫をしていたことと子供を妊娠したことは申し訳ないと思っているが、慰謝料500万円は高額すぎると考え相談に来られました。
ご相談者様の疑問は、「既婚者の子供を妊娠・出産すると慰謝料は増額されるか」ということです。慰謝料500万円は高額すぎるため疑問を抱いたとのことでしたが、既婚者の子供を妊娠・出産すると、慰謝料の金額は高額になるのでしょうか。
妊娠、出産は慰謝料の増額される事情になります。
既婚者の子供を妊娠・出産した場合の慰謝料については以下のように考えられます。
不倫相手の子供を妊娠・出産したことは慰謝料増額の事情となり得ます。既婚者の子供を妊娠していると、妊娠していないケースよりも慰謝料の金額は高額になる傾向があります。妊娠していないケースより不倫相手の配偶者が被る精神的な苦痛が大きくなることから、一般的な慰謝料の相場よりも高額になると考えられます。
既婚者の子供を出産すると、さらに慰謝料の金額は高額になる可能性があります。出産をした場合、不倫相手の妻が被る精神的な苦痛が、妊娠のみのときと比較しさらに大きくなるからです。出産すると、戸籍に子供が記載されるなど不倫の事実が形として残るだけでなく、生まれた子供が父親の財産相続権を持つこと、養育費の支払いの責任が生じることなどで、不倫の被害に遭った側の家族に経済的影響が及びます。将来的に継続されるさまざまな影響が予想されるため、子供を出産すると慰謝料の金額はさらに高額になる可能性があります。
出産後の不倫慰謝料では、過去に500万円の請求が認められた判例もありました。示談で不倫問題を解決する場合、慰謝料は合意した金額となることから、妊娠・出産していたとしても、双方が50万円で合意すれば50万円になりますが、裁判に発展した場合は、さまざまな事情を考慮して慰謝料の金額が決定されます。一般的な相場といわれているのは、50~300万円です。不倫発覚後にそのままの生活を継続させる場合は50~100万円、別居をした場合は100~200万円、離婚をした場合は200~300万円となることが多いといわれていますが、妊娠・出産をすると慰謝料は相場より高額になる傾向があります。妊娠・出産した方は、慎重に対処しなければなりません。
既婚者の子供を妊娠・出産した後に慰謝料を請求されたなら、まずは法律の専門家に相談してください。妊娠・出産により慰謝料は高額になる傾向があるため、支払義務の有無や金額の妥当性などを慎重に判断しなければなりません。しかし、適切な判断には法律の知識が欠かせず、法的見解を欠いた対応は問題を拡大させる恐れがあるため、慰謝料を請求されている方は法律の専門家に相談しましょう。個々の事情に合わせた最適な解決法を知った上で対処にあたってください。