夫婦仲が険悪になって堪忍袋の緒が切れ「離婚だ!」というケースもあるでしょう。
現在、日本では約2分に1組の夫婦が離婚しているといわれていますからもはやそう珍しい話でもありません。
離婚時に特に気になるのが、慰謝料をもらえるかどうか。
特にパートナーの不倫や暴力が理由で離婚する場合、また専業主婦や低年収の人など離婚することで生活基盤が不安定になる人にとっては大きな問題ではないでしょうか。
ここでは、そんな離婚時の慰謝料に関するよく聞かれる疑問についてまとめました。
目次
離婚したからといって、必ずしも慰謝料を受け取れるわけではありません。
慰謝料とは、パートナーに与えた精神的苦痛を謝罪するために渡すお金のこと。
そのため、日本人の離婚の理由で一番多い「性格の不一致」だけでは、慰謝料はもらえないのです。
では、どのような場合、慰謝料を受け取ることができるのでしょうか。
離婚の際に受け取れるお金は慰謝料だけなのでしょうか?
そうではありません。
慰謝料以外にも以下に関しては、受け取ることができます。
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で築き上げた財産を平等に配分すること。
財産分与の財産は以下の3つに分類されます。
二人の名義で購入したマンションなど、夫婦で共同購入した財産
名義上はどちらか一人だけでも、実質二人で使っていた共有の財産
財産分与の対象になるのは「共有財産」と「実質的共有財産」です。
今後、どの財産をどちらが所有するかは、夫婦間の話し合いで決める必要があります。
注意が必要なのは、結婚前から個人が保有していた「固有財産」に関しては財産分与の対象にならないということ。注意してください!
年金分割とは夫婦で積み立ててきた年金を決められた割合で分割すること。
専業主婦が離婚すると受け取れる年金額が極端に少なくなってしまいます。
そのリスクを抑えるために始まった制度です。
最大で年金の半分の額を受け取ることができます。
ただし年金分割で分割できる年金の額は婚姻期間中のみとなります。
婚姻前の年金額は分割して受け取ることはできませんので注意してください。
もし離婚後の親権を勝ち取った場合、パートナーから養育費を受け取ることができます。
養育費は基本的に子供が20歳になる誕生月まで、毎月分割払いで受け取れます。
養育費の金額は、二人の収入額に応じて決められます。
もちろん、話し合いが成立すればそれ以上の金額を受け取ることも可能です。
しかし中には、最初は「払う」と約束したにもかかわらず、すぐ養育費の振り込みをやめてしまう相手もいます。
そうならないためにも、養育費の支払いの約束をしたら、必ずその内容を離婚公正証書に残しておきましょう。
離婚公正証書には高い証拠能力があり、もし不払いが起きたとしても、差し押さえ等の強制執行できる機能を備えています。
そのため、万が一の事態に備えて、離婚公正証書の作成を専門家に依頼することをおすすめします。
1.の「慰謝料を受け取れるケース」に離婚理由が当てはまっていた場合、一体いくら慰謝料を受け取れるのでしょうか?
相場が気になりますよね。
以下、一般的な慰謝料の相場を記載しますので、参考にしてください。
パートナーに不倫、浮気をされた場合の慰謝料の相場は100万~500万円ほどといわれています。
婚姻期間や不倫期間・回数・悪質性、子どもの有無などにより金額は変わりますが、200万円程度に収まることが多いです。
モラハラ、DVを受けた場合の相場は50万~500万円ほどといわれています。
暴力を受けた回数やその経緯、被害の状況・後遺症(けがをした、うつ病になったなど)などによって金額は変わります。
悪意の遺棄の場合、相場は50万~300万円ほどといわれています。
なぜこのような事態が発生したのか、事態に対して正当な理由はあるかなどを考慮した上で金額を決定します。
セックスレスの場合は100万~300万円程度といわれています。ただしなかには、10万円の慰謝料といった裁判例が出たケースもあります。
では、相場よりも高い慰謝料を受け取るにはどうすれば良いのでしょうか。
そもそもそんなことは可能なのでしょうか?
結論は「状況により可能」です。
慰謝料の金額は「おおよその相場」と「受けた精神的苦痛の大きさ」を基準に、裁判所での協議や夫婦間での協議により決定します。
相場以下であれば当然相場程度には請求できますし、また精神的苦痛が大きいと判断できればより高額な慰謝料に納得してもらえる可能性はあります。
相場に関しては実は明確な法的な基準はありませんが、過去の判例などによりおおよそ定まっているというのが実情です。
1円でも多くの慰謝料を手にしたい方は、「より大きな精神的苦痛を受けた」と第三者から見て立証できる証拠を集めることが重要です。
証拠があれば、話し合いの際、相手も言い逃れできませんし、金額の交渉も優位に進められます。
以下、離婚のケース別の有用な証拠です。
不倫が理由で離婚する場合、パートナーだけでなく不倫相手にも慰謝料を請求したい!と考える人も非常に多いです。
原則的には請求は可能なのですが、一部の例外がありますので注意が必要です。
不倫相手に慰謝料を請求する前に知っておきたい注意点を紹介します。
たとえパートナーと不倫相手がセックスしていたとしても、パートナーが「自分は独身だ」とウソをついていたり、出会い系サイトなどで出会いお互いの素性を明かさないまま事に及んでいたりすれば、不倫相手に過失はなく、慰謝料請求はできません。
たとえ不倫相手とパートナーがセックスしていたとしても、パートナー側が無理やり強制していたら不倫相手に過失はありません。
そのため、慰謝料請求もできなくなります。
不倫(不貞行為)が悪行なのは、円満な夫婦関係を悪化・破局させたから。
しかし別居しているなど、元々の夫婦関係が悪かった場合、パートナーが他の異性に惹かれるのも仕方ないと見なされ、慰謝料請求は難しくなります。
そのため夫婦関係が円満なうちに、毎日の生活状況を日記に書いたり、SNSに投稿したりするなどして、証拠を用意しておくと良いかも知れません。
すでにパートナーから慰謝料として十分な金額を受け取っている場合、たとえ不倫相手に怒りを感じていたとしても慰謝料請求はできません。
なぜなら慰謝料は不倫を通じて受けた精神的苦痛に対する損害賠償。
損害に相当する金額を受け取ったら、それ以上の請求はできないのです。
慰謝料請求は不貞行為の事実を知ってから3年間という時効があります。
時効をすぎたあとは請求できません。
後悔しないためにも、早めに請求しましょう。
離婚時の慰謝料について分かりましたか?
慰謝料は離婚したら必ずもらえるものではありません。
受け取るには、「精神的にこれだけ傷ついた!」というれっきとした理由を述べる必要があります。
離婚時の慰謝料についてもっと知りたい人は専門機関に相談すると良いでしょう。
たくさんの離婚事例を知っている専門家ならば「あなたの場合はいくらぐらいもらえる」など個別のケースについてまで詳しく教えてくれるはず。
未来の生活を明るくするためにも、慰謝料請求に関する知識をつけて、本来もらえるモノは必ず手に入れられるよう準備しておきましょう。