世間体が悪いから離婚はしたくない、子供に悪影響を与えるかもしれないから離婚だけは避けたいと考える人も多いと思います。
しかし、慰謝料請求という点からみてみると、離婚するか否かは非常に重要なポイントとなります。
離婚するということは「もう相手の配偶者であることもイヤだ!」というぐらい深く傷ついたということです。
実際、不倫や浮気の後も婚姻関係を続けたときの慰謝料請求の相場は50万~100万円程度ですが、離婚となると200万~500万円にまで上がります。これは、不倫や浮気だけでなく、離婚そのものに対しての慰謝料請求もできるからです。
ちなみに不倫や浮気がきっかけで別居となった場合の慰謝料請求の相場は100万~200万円ほどになります。
現代は3人に1人が離婚をする、離婚社会です。
「浮気を繰り返されている」「不倫したあげく、生活費も入れてくれない」「浮気をなじると、逆ギレされる」などの問題を抱えている方は、離婚も選択肢に入れたほうがいいかもしれません。
ただ離婚は慰謝料請求をし、受け取ってからするようにしましょう。
支払いに合意しても、約束の慰謝料を支払わない人は実に8割近くに上るといいます。
また不倫相手に慰謝料請求する際も、離婚は慰謝料を受け取ったあとにしましょう。
離婚前でしたら、配偶者から不倫相手の情報を聞き出すこともたやすいです。
しかし、離婚してしまったら、元配偶者と連絡を取ることが難しくなります。
その結果、不倫相手の情報も入手できず、証拠不十分で慰謝料請求できないという事態に陥ることも有り得ます。
配偶者の不倫の発覚は辛いもの。
しかし、たとえどんなに精神的苦痛を受けたとしても、たった1回の不倫・浮気では慰謝料請求できない、または請求できたとしても金額が安いことが多いです。
またここでいう不倫とは、「不貞関係=性的関係」のみを指します。
どんなに傷ついたとしても、デートやハグ、キスだけでは慰謝料請求できません。
高額な慰謝料請求をするためにも、できるだけ多くの証拠を取りそろえておくようにしましょう。
慰謝料請求の金額は、不倫の回数・期間などによっても大きく変わります。
たった1枚のラブホテルに出入りしている写真よりも、数枚の写真や動画、着信履歴、不倫相手との会話の録音記録、メール、手紙、ラブホテルや旅行に行ったときのカード明細や領収書、GPSによる行動履歴などを複数の証拠があるほうが、関係性が深かったことを証明できます。
「そんな証拠、用意できない」という方は、探偵や興信所を利用してみるのも手です。
実際、個人で不倫の証拠を多数集めるのは難しいこと。
場合によっては、努力しても、訴訟時に証拠不十分と見なされてしまう可能性もあります。
慰謝料請求の金額には、夫婦の親密度も関係してきます。
たとえ被害を受けたと主張しても、不倫前の家庭の状況が芳しくなかったら、高額な慰謝料請求はできません。
家庭円満だったことをアピールするためにも、夫婦や家族で旅行や外出したときは写真撮影をしたり、普段の夫婦の会話を日記やメモに記録しておいたりするなどしましょう。
「突然のことでびっくりしている」「信じていたのに、裏切られた」という状況が伝われば、高額な慰謝料請求をできる可能性が高まります。
例えば、配偶者の不倫や浮気がきっかけでうつ病が発症したり、職場を追い込まれたりするような事態に陥った際は、それらの二次被害についてもしっかり訴えておきましょう。
精神的に苦痛を受けた場合は、精神科やカウンセリングを訪れるのもいいです。
そのときの診断書が、精神的苦痛を受けた証拠と見なされます。
慰謝料請求の金額は、支払う人の年齢、年収、社会的地位などによっても変わります。
たとえ慰謝料請求したとしても、そもそも収入や預貯金が無い人には支払えません。
そのため、相手が支払える範囲内の金額で慰謝料請求することになります。
少しでも高額な慰謝料請求をしたいならば、相手に支払い能力があることを証明しなくてはなりません。
請求相手の勤務先、役職、年収、預貯金なども調べておくようにしましょう。
これは配偶者、不倫相手のどちらに請求するときも同じです。
慰謝料請求に相場があるのは事実ですが、最初に請求するときは少し高めの金額を設定しておきましょう。
というのも、ほとんどのケースにおいて、被請求者は「こんな金額は支払えない」と主張してきます。
そこから話し合いが始まり、最終的に相場に落ち着くことが多いです。
そのため、最初から低めの金額を設定してしまうと、相場よりも安い慰謝料しか請求できない可能性が高まります。
また裁判においても、「大して苦痛ではなかったのかな」「お金に余裕があるのかな」などと思われてしまうので、最初はできるだけ高めの金額を設定しておきましょう。
慰謝料は、支払う人だけでなく、支払われる側の生活能力によっても金額が左右します。
不倫による離婚が決まった場合、たとえ現在、専業主婦だったり、就職していたとしても低収入だったりする方は、離婚成立後に転職することをおすすめします。
離婚の慰謝料には、今後の請求者の生活の保障も含まれています。
もともとの生活能力が高く、慰謝料無しでも、十分生活していけると見なされたら、多額の慰謝料請求はできません。
今すぐ生活を安定させたい気持ちは分かりますが、少しでも高くするには、転職より離婚に力を注ぐようにしましょう。
慰謝料は、「配偶者」「不倫や浮気の相手」「配偶者と不倫や浮気の相手」の3パターンに請求することができます。
この中で、最も高額な慰謝料請求できるのは、言わずもがな「配偶者と不倫や浮気の相手」の両方に請求するパターンです。
不倫や浮気はどちらか一方が悪いのではなく、両者に責任があることがほとんど。
また配偶者に支払い能力が無くても、不倫や浮気の相手の年収や社会的地位が高い場合、多額な慰謝料請求をできる可能性が高まります。