慰謝料請求が離婚後にあった場合は?不倫の確認事項と注意点を解説 - 慰謝料請求ホットライン

慰謝料請求が離婚後にあった場合は?不倫の確認事項と注意点を解説

離婚をした後に、婚姻中の不倫が元配偶者に知られるというケースもあります。
離婚後でも婚姻中に不倫を行っていた場合は慰謝料請求の対象になるため、時効を迎えていなければ請求される可能性も。
もし、離婚後に慰謝料を請求されたら、どのように対処すればよいのでしょうか。
請求できるケースや請求されたときの対処法について解説します。

離婚後不倫の慰謝料は請求できるのか

離婚後であっても、元配偶者が離婚前に相手の不倫の事実を知らなかった場合には、慰謝料を請求することは可能です。
ただし、時効の成立や、離婚条件の取り決め内容、不倫発生前の夫婦関係の状況などにより、慰謝料の支払い義務が生じない場合もあります。

離婚後に不倫の慰謝料請求をされた場合の相場

離婚の原因が不倫であると認められた場合の慰謝料の相場は100~300万円となります。
不倫発生前の夫婦関係の状況や不倫の内容、期間、肉体関係を持った回数、悪質性の度合いなどの事情により金額が評価されます。

離婚の原因が不倫だけでなく、もともとの夫婦関係に問題があった場合や元配偶者の側にも何らかの責任が認められる場合には、支払うべき慰謝料は不倫行為によって元配偶者が受けた精神的苦痛に対する慰謝料として評価される可能性があるため、その場合には、50~100万円となる可能性があります。

離婚後に慰謝料請求をされた場合の対処法

離婚後に慰謝料を請求された場合は、次のようなポイントを確認しながら対応していきましょう。

・慰謝料請求の時効を確認する
・支払いの義務があることを確認する
・離婚時の法的な取り決めが影響する可能性を確認する
・不倫相手に対する請求の有無を確認する
・専門家に相談する

それでは、上記の5つのポイントについて、それぞれ詳しい内容を解説していきます。

時効が完成しているかどうかを確認する

慰謝料の請求には時効が設定されているので、離婚後に請求があった場合は、時効によって請求期限が過ぎていないかまず確認しましょう。
時効については、「消滅時効」と「除斥期間」の2つの考え方によって成立します。

・消滅時効:不倫の事実を知った日から3年間
・除斥期間:元配偶者と不倫相手との交際が終了してから20年間

消滅時効は不倫の事実が発覚した日から3年が経過すると、請求が行えなくなるということです。
除斥期間は不倫が終了してから20年間が経過すると、請求する権利自体が消滅するという内容になります。
民法では、消滅時効と除斥期間について次のように定められています。

(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

出典:e-Gov:民法

つまり、不倫行為が終了してから20年以上が経過するか、不倫の事実が発覚した日から3年が経過していた場合は、慰謝料を支払う義務はありません。
離婚後に請求を受けた場合には、まず時効について確認するようにしましょう。

慰謝料の支払い義務があるかどうかを確認する

時効が成立していなかったとしても、慰謝料の支払い義務が生じない場合もあります。
さまざまなケースが考えられますが、次の2つが代表的です。

・相手からの申し立てによる離婚調停中に不倫をした
・不倫の際にすでに夫婦関係が破綻していた

相手からの申し立てによって離婚調停をしていた場合や、離婚を目的とした長期間の別居を行っていたなど、夫婦関係が破綻していた状況下での不倫であれば、慰謝料の支払い義務が認められない可能性があります。
婚姻中に不倫をしていたとしても、必ず慰謝料を支払わなければならないというわけではありません。
不倫行為があったときの夫婦関係を整理し、支払い義務があるかどうかを確認しましょう。

離婚時の約束(離婚協議書・調停証書・公正証書)の取り決めが影響するかを確認する

協議離婚の場合には「離婚協議書・公正証書」、調停離婚の場合には、「調停証書」といった書面により離婚に関する取り決め(契約)をしている場合があります。

離婚時に上記書面を作成していて、書面に「清算条項」が記されているかを確認しましょう。
清算条項は「離婚に関して互いの債権債務がないことの確認」や「離婚後に財産上の請求をしない」などと記されるものです。
清算条項について厳密に取り決めている文書を交わしている場合は、書面上に記されているように、離婚後に何らの請求も行わないことを約束したことになるため、元配偶者は請求を行うことが難しくなります。

ただし、絶対に請求できないというわけではありません。
不倫の事実は法的に離婚が認められるほどの重要事項にあたるため、不倫の事実を知らずに離婚した元配偶者としては、離婚時に知るべき重要な事実を知らずに離婚に関する取り決め(契約)を行なったことになり、民法95条「錯誤無効」に基づき、離婚時の取り決め(契約)の変更を主張し、慰謝料を請求することが可能と考えられます。
このとき、元配偶者は離婚時に不倫の事実を知らなかったことを証明する必要があります。

なお、離婚時の約束を口頭だけで済ませていて書面を取り交わしていない場合には、請求を阻むものはありません。

●不倫相手にはいずれの場合も請求可能

慰謝料請求で離婚時に作成された文書が影響を及ぼすのは元配偶者に対してのみで、不倫相手にはいずれも影響を及ぼしません。
つまり、書面に清算条項が記されていたとしても、不倫相手に対しては通常通り請求が行われます。
あくまでも夫婦であった二人にだけ適用される内容となるため、婚姻に無関係である不倫相手に対する請求には影響がないことに注意しましょう。

不倫相手に対し元配偶者が慰謝料を請求した場合

最後に、不倫をしていた相手に対し、元配偶者が慰謝料の請求を行なった場合の対処法を解説します。

●支払い義務がないと判断できる場合

慰謝料の支払い義務がないと判断できる場合は、支払いを拒否する旨と、拒否する理由を記載した内容証明郵便を請求者に対して送付します。

支払い義務がないと判断できる場合とは、下記の条件のいずれかに該当するときなどです。

・既婚者と知らずに交際していた場合
・不倫が生じる前に夫婦関係が破綻していた場合
 (元配偶者からの申し立てによる離婚調停中や離婚を前提とした別居中の不倫など)

すでに夫婦関係が破綻した状態で不倫が行われていたのであれば、不倫相手も損害賠償を支払う義務を負いません。

支払い義務が生じるのか判断が難しい場合には、まず、相手に対して回答する前に、法律の専門家に相談をした上で解決方法を探りましょう。

●支払い義務があると判断できる場合

支払い義務があると判断できる場合は、請求内容に特に問題がなければそのまま支払いに応じても良いですが、支払う金額をできる限り少なくしたいという思いはどなたにでもあるでしょう。
まずは慰謝料の減額交渉を試みることを検討しましょう。

法律の専門家に相談することで、妥当な慰謝料額や減額の余地などの見解を聞き、適した解決方法を検討することができます。

●不倫(不貞行為)の事実がなく誤解によって請求された場合

不倫(不貞行為)の事実がないにも関わらず、誤解によって慰謝料の請求を受けている場合は、請求の理由が存在しないことを内容証明郵便で送付します。
不倫の事実がないのですから、当然、請求に応じて支払う義務はありません。
基本的に、肉体関係を伴わない関係は「不貞行為」として成立しないため、「不貞行為」の事実はなかった旨を内容証明郵便を使って送付しましょう。

専門家に相談すること

慰謝料の支払い義務があるかどうかは事情により判断されるため、法的な知識がなければ性格な判断を行うことはできません。慰謝料を支払う義務はなかったのに、支払いを認めれば、後から撤回することも難しくなる場合もあります。
慰謝料の請求を受けた場合には、一人で判断することなく、専門家に相談するべきでしょう。
正当な請求を無視していれば訴訟に発展する可能性もありますし、不当な請求を受領する必要はありません。
現在のご自身の状況を確認して、支払い義務の有無が判断できないという場合は、迷わず専門家に相談するべきでしょう。
不倫の慰謝料請求で間違った判断をすれば、さらに複雑な展開に発展していくことも予想されるため、一人で判断することは危険です。

まとめ

離婚後に不倫の慰謝料を請求された場合には、まずは支払い義務の有無を正しく確認することが大切です。
離婚のときに締結した文書の内容や時効、不倫行為を行った状況によって、支払い義務が生じるかどうかは全く変わります。
よく確認せずに対応を間違えれば、必要のない慰謝料を支払う羽目になるでしょう。
ご自身での判断が難しい場合は、慰謝料請求の専門家にご相談されることをおすすめします。

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