不倫は配偶者と相手が共同で不法行為を行う「共同不法行為」です。
2人で不法行為を行っているため、 原則的に5:5の金額になるように慰謝料の支払い義務が生じます 。
ただし、不貞関係が始まった状況や2人の関係性により割合が変化することもあり、負担が半額ずつでない場合は後の求償請求につながる可能性もあるため、慰謝料の支払いは複雑になりがちです。
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不倫が「共同不法行為」とされる意味は、配偶者と不倫相手が共同で不法行為を行うということです。
既婚者が配偶者以外の異性と不貞行為を行うことは、民法に定められているとおり禁止されています。
そして不貞行為は1人で行うことはできず、必ず「配偶者」と「不倫相手」の2人で行われる不法行為となるため、2人の人物が共同で法に違反したとする行為となるのです。
不倫は共同不法行為ですが、 請求された慰謝料の2倍の金額を支払う必要はありません 。
例えば請求金額が200万円であり、配偶者と不倫相手の2人に対して請求が行われる場合、それぞれが100万円を支払って、支払総額が200万円になれば問題ありません。
それぞれが200万円を支払い、総額400万円の慰謝料を支払う必要はないのです。
共同不法行為者が慰謝料を負担する割合は、原則的に5:5です。
ただし、不倫をした配偶者が多めに負担するケースも少なくありません。配偶者の負担が増加するケースについてご紹介します。
配偶者が不倫相手に対して、積極的に関係を求めた場合 です。
不貞関係の慰謝料においては「不倫の主導者」が多めに支払うことになっており、どちらが積極的に関係を求めていたかは重要な論点となります。
もちろん、断ることができた状況下であったなら、相手にも支払い義務が生じますが、関係を主導した側の支払割合が多くなることは否めません。
配偶者が上司で、相手が部下という立場であった場合は、配偶者の慰謝料負担分が増加します 。
上司と部下という社会的立場から鑑みると、部下が上司からの要求を強くはねのけることは難しいと考えられるためです。
配偶者が上司であっても、不倫関係の主導者がどちらであったかなども考慮されるため、一概に「上司であれば負担分が増える」とは言えません。
しかし上司と部下という関係であれば、上司の方が関係の主導者であったと推察される可能性が高く、配偶者の負担分が増加する可能性の高い要件です。
不倫の慰謝料が配偶者と不倫相手、どちらか一方にだけしか請求されない場合があります。
一方にしか請求されない場合、請求されなかった方にも支払う責任は残されています。
自分の責任分を超過し慰謝料を支払った場合、責任分の慰謝料を支払わなかった相手に対して「求償請求」を行えます。
不倫が共同不法行為者である以上、請求された状況に関わらず、不貞行為の当事者である2人ともに支払う責任が生じます。
自分の責任を超過した分を、責任分の慰謝料を払っていない相手に返還要求することができるのです。
例えば、200万円の慰謝料を不倫相手のみが請求された場合、200万円を支払った後に、不倫相手は配偶者に対して自分の責任を超過した分である100万円の請求を行えます。
そのため、請求者がどちらに対してどれほどの負担の請求を行おうとも、共同不法行為者は「原則5:5」という割合を守って請求を行うことが可能です。
2人の慰謝料負担分が平等ではなかった場合は、求償請求が行われる可能性があることに注意しましょう。
後の求償請求を防ぐためには、求償権の放棄を求めてください 。
慰謝料の支払いを行う人物に対して求償権の放棄を求めれば、求償請求は行えなくなります。
示談交渉で慰謝料の支払い条件を決める際には、求償権の放棄を求め、相手が承諾したことを合意書に記し、署名・捺印をもらうことが重要です。
求償権の放棄が行われていなければ、慰謝料を多く支払った共同不法行為者から、求償請求が行われる可能性も十分に考えられます。
2人が共同で不法行為を行う不倫は共同不法行為であるため、不法行為を行った2人ともに慰謝料の支払い責任が生じます。
ただし、 不貞行為の状況や2人の関係性により支払うべき割合が異なるケースも多く、支払いが平等でなければ「求償請求」が行われる可能性もある でしょう。
共同不法行為であるため、不倫の慰謝料支払いは複雑であり、法律の専門家に相談し最適な対応を知ることが重要となります。
当無料相談窓口は24時間365日受付しており、専門的な知識でもって適切な対応をいたします。お気軽にご連絡ください。