慰謝料の支払いを約束していたものの、何か事情があってどうしても支払いが遅れてしまうようなケースもあるでしょう。その際気にしなければならないのが、遅延損害金の問題です。
遅延損害金とは何なのか、金額はいくらなのか、支払わなかった場合にはどうなるのかについて解説するので、参考にしてみてください。
自分が不倫をしてしまい、それが配偶者に知られてしまうと慰謝料を求められることがありますが、支払いが遅れた場合には差し押さえリスクがあるだけでなく、遅延損害金が発生することもあります。
不倫が原因の慰謝料は状況によって変わるもの。一般的には100万円~300万円の間で取り決められることが多いのですが、決めた金額は一括で支払うのが一般的です。
しかし、どうしても一括での支払いが難しかったりする場合には、分割で支払わなければならないようなケースもあるでしょう。毎月きちんと支払えれば良いのですが、支払いが滞ったり遅れたりすると、遅延損害金をプラスした金額を請求される形なることがあります。
支払いについて取り決めをした際に、無理なく支払える金額で何とか話し合いをまとめられる方も多いのですが、将来的に生活がどのように変化していくかわかりません。急なリストラで無職になってしまうといったことも十分に考えられるので、遅延損害金について正しく理解しておきましょう。
約束していた期日で支払われなかった場合に損害賠償金として支払われるお金のことです。請求するかどうかは相手次第ともいえますが、相手にとっては請求する権利があるものだと理解しておかなければなりません。
特に1円でも多く慰謝料を多く獲得したいと考えている方は、請求してくることでしょう。
一般的に示談で不倫の慰謝料を求められるケースでは、示談書に具体的な支払額が記載され、その金額を支払っていくことになります。しかしここで遅延損害金についてまで詳しく取り決めるケースは少ないです。
しかし約定(取り決め)がなかったとしても支払いが遅れて相手の方から遅延損害金を請求された時に、「そんな取り決めはしていなかったから支払わない」と断ることはできません。
好きな金額を設定して良いわけではなく、次のように上限金利が定められています。
金利とは全く異なるものなので注意しておいてください。また、この金額はあくまで上限であり、約定していない場合でも最低でも5%の利息が発生することになります。
言い換えれば、約定がなくても法定利息として定められている5%までは請求が可能ということです。
具体的に言うと、慰謝料の金額が100万円で1年間支払いを渋ってしまった場合、一年後には最低で5万円もの遅延損害金がプラスされることになるのです。
支払いをしたくないからといって先延ばしにしていたりすると、どんどん加算されてしまうので注意しておきましょう。
慰謝料の問題を示談で解決することができず、裁判にまで発展してしまうこともあります。判決で慰謝料の支払い命令が出て決着するケースもありますが、この際には遅延損害金も決定されることになるのです。
不倫裁判における遅延損害金は、不貞関係を知ったとき.または請求時から発生することになり、慰謝料の金額に対して支払いを超えるまでの間、年率5%で加算されることになります。
先述したように、請求する側は最低でも年5%までは請求できる権利があります。そのため、請求された側は支払う義務があるので基本的に支払わなければならないものだと考える必要がありますが、支払わなかった場合に相手がどのように出てくるかはケースによっては異なるのです。
例えば、「今後一切遅れないようにする」と約束する交渉がうまくいけば、延損害金部分の免除に応じてくれる可能性もゼロではありません。しかし、請求されている慰謝料の金額が大きかったりすると延損害金自体も大きな金額になるため、交渉が決裂して訴訟につながってしまう恐れもあります。
給料が減ったなど、何らかの理由によって支払いが難しくなってしまう可能性は十分にあります。その場合は、まずは相手に対し、真摯に状況を説明し、支払い方法の減額を願うなどの対応をお願いしましょう。
こういったことを一切行わず、連絡もせずに支払いが滞ってしまったりすると、相手も強気の姿勢で遅延損害金を含めた請求をしてくることが多いのです。きちんと状況などを理解してもらえれば請求しないケースもあるので、できる限り誠実な対応を心がけることが大切です。