不倫で妊娠した相手方の女性から慰謝料請求を受けたという方に向けて、請求金額の相場や今後の対処法などについて解説します。
既婚者の子供を妊娠した女性から慰謝料を請求されたという事例は多いですが、妊娠を招いた事実に対する慰謝料の支払義務はなく、相手女性に対し誠実に接していれば慰謝料の支払義務が生じることはありません。
慰謝料の請求に備え、取るべき対応と行ってはいけない行為について知っておきましょう。
目次
不倫で相手女性が妊娠した場合の慰謝料支払義務は、妊娠が発覚したことで相手女性に対し不誠実に父親としての協力義務を怠ったことにより生じます。
相手方の女性を妊娠させただけでは慰謝料請求は認められません。
過去の判例によると、相手方の女性との話し合いを拒否し逃げた、中絶するように強要したなど女性の精神的負担を助長させる行為があったケースでは、相手女性に対し、父親としての協力義務を怠ったとして慰謝料請求が認められました。
また、未婚であると偽って性交渉を行ない、子供ができてから既婚者であることがわかった場合、女性の貞操権を侵害したとして、慰謝料の請求が認められることもあります。
父親としての協力義務を怠り、妊娠した女性に対し精神的苦痛を与えた場合の慰謝料の相場は100~200万円が一般的です。
子供を身籠った相手方の女性に対しては誠実に向き合うことが大切ですが、協力義務を怠った場合は100~200万円の慰謝料請求を受けかねません。
不倫相手が既婚者の子供を妊娠した場合、次のようなトラブルが生じることが想定されます。
まずは不倫相手の女性との間に、次のような問題が想定されます。
・慰謝料請求
・子供の認知、養育費の要求
・婚姻の要求
不倫で相手方の女性が妊娠してしまった既婚者の方に想定されることは、それぞれの状況によりさまざまです。
子供を出産するか否かにより想定されることは変わりますが、出産する場合は子供の認知、養育費、婚姻の要求などが考えられます。
また最初に解説したように、女性への対応が疎かになると「権利侵害行為」であると見なされることから、その後の対応次第では、相手方の女性から慰謝料の請求を受ける可能性も捨てきれません。
次に、配偶者との間に起こり得ると想定される問題は次のとおりです。
・慰謝料請求
・婚姻関係の解消
不倫で相手方の女性を妊娠させてしまった場合、「有責配偶者」となり、配偶者から慰謝料を請求される可能性があります。
有責配偶者とは夫婦関係の破綻を招いた責任を負う配偶者のことであり、妻から婚姻関係の解消を求められた際に、一般的な相場よりも高額となる慰謝料を請求されることも考えられます。
不倫相手を妊娠させてしまった場合、まずは次のように対処します。
まずは不倫相手が妊娠していることを、病院で確認しましょう。
月経の遅れ、市販の検査薬の誤認、不倫相手が愛情を確認するため虚偽の発言をしているなどの可能性も考えられるため、病院で検査をしてもらうことを第一に考えてください。
また、自分の子供であるか判断できない場合でも、出産前にDNA検査をすることは可能です。
相手方の女性には、病院で検査を受けてもらうよう依頼してください。
妊娠していることが確認されたら、今後について話し合いを行ないます。
子供を出産するか否か、のちに結婚するか否かなど話し合わなければならないことが多々ありますが、話し合いで最も重要なことは不倫相手の女性の気持ちに配慮することを怠らないことです。
相手の女性から逃げたり、連絡不通にしたり、脅迫や暴力により堕胎を要求したりすることは厳禁です。
感情的にならず、冷静に今後について話し合ってください。
話し合いにより中絶が決定したら、手術費用の負担について話し合います。
中絶手術の費用は妊娠経過期間により異なり、一般的な費用は次のとおりです。
妊娠経過期間 | 中絶費用の相場 |
8週目まで | 12~13万円 |
9~10週目 | 15~16万円 |
11~12週目 | 18~19万円 |
13~22週目 | 30~50万円 |
22週目以降 | 中絶不可 |
胎児が成長するほど中絶手術に必要となる費用は高額となり、女性の体への負担も大きくなっていきます。
そのため、妊娠が発覚したらできる限り早く話し合いを進めることが重要ですが、中絶手術に際して必要となる費用は、手術費用以外にも考えられます。
例えば、中絶手術のために入院する必要があれば入院費が、手術で会社を休むのであれば休業損害なども生じる可能性があります。
一般的に、中絶にかかる費用は折半が原則ではありますが、身体的、精神的に負担の大きい女性に代わり、経済的面では男性が多く負担をする傾向にあるように感じます。
話し合いで子供を出産することが決まったら、認知について話し合います。
認知とは、既婚者である男性が相手方の女性が出産した子供を「確かに自分の子供である」と認め、法律上の親子関係を築く手続きのことです。
不倫相手の子供を認知することにより、男性の戸籍に不倫相手の子供が子として登録され、養育費の支払い義務や相続権が生じます。
出産後に子供を認知しなければ養育費の支払義務は生じませんが、生まれてきた子供には訴訟により強制的に認知を行わせる権利があるため、男性が認知を拒否したとしても、後に強制認知させられる可能性もあり、強制認知が行われた場合は出産時から認知時までの養育費を負担する義務を負います。
以上のことを踏まえ、不倫相手が身籠った既婚者の子供を認知するか否か、話し合いにより決めてください。
配偶者や不倫相手との今後の関係性について考えることも大切です。
不倫の相手方の女性が子供を妊娠したということは、配偶者に不倫の事実が知られる可能性は高いと考えられます。
女性が子供を出産するのであれば尚更です。
配偶者の了承が得られれば、婚姻関係を継続しながら不倫相手に養育費を支払うこともできるでしょう。
配偶者と離婚をするか否か、離婚をするのであれば、その後不倫相手と再婚するか否か、配偶者や不倫相手とよく話し合って、三者にとって最善の方法を選択する必要があります。
自分・配偶者・不倫相手の立場や要望、将来性、金銭面などを総合的に考慮し、今後の関係性について考えてください。
不倫の末に妊娠した相手方の女性に対しては、金銭的・精神的・身体的にできる限り協力し、今後についてよく話し合うことが大切です。
男性の対応次第では、慰謝料を請求される可能性も考えられます。
不倫相手の妊娠がきっかけでトラブルに発展し、慰謝料の請求を受けた場合、支払義務の有無、請求金額の妥当性などを1人で判断することは難しいものです。
支払義務が生じるかや妥当な慰謝料金額は男性の対応や状況により異なるため、不安や疑問を感じたら法律の専門家に相談し、正しい知識を得た上で、最も適切だと思われる対処を行っていきましょう。