浮気の自白の証拠としての有効性などについて、事例を基に解説します。浮気の自白は証拠として有効とされていますが、すべての自白が有効となり、慰謝料請求に関わるわけではありません。浮気を認めてしまった場合は、証拠としての有効性を判断した上で、適切な対処を行っていくことが求められます。
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ご相談の経緯についてご紹介します。
ご相談者様は、仕事で知り合った女性と数か月間にわたる不倫をしていた40代・既婚男性のAさんです。ご相談者様によると、マイカーのダッシュボードに保管していた不倫相手からの手紙が妻に見つかったことから不倫を問いただされ、最初は無視していたものの、あまりの追及の厳しさにすべてを自白してしまったとのこと。今後の慰謝料請求が不安になり、ご相談に訪れたという経緯でした。
ご相談者様は、「浮気の自白が証拠になるか否か」に疑問を感じておられました。不倫をしたご自身に非があることは認めていましたが、追求により告白したことで不利な立場に立たされたのではないかと考えられたようです。
自白は証拠になりえます。
浮気の自白は証拠となり得ます。しかし次のとおり、すべての自白が証拠となり得るわけではありません。
自白は浮気の証拠となりえます。慰謝料請求の恐れがあるにもかかわらず、自らの意思で発言しており、虚偽を告白することにメリットはないことから、信ぴょう性は高いと考えられています。
法的な証拠とするためには、自白を形に残すことが重要です。裁判になってから発言を覆すことなどが考えられることから、自白だけでは証拠として成立しづらいといえます。そのため、証拠として成立させるには、自白を文書や音声データ、動画データなどとして残しておく必要があります。証拠価値は文書が最も高いとされており、不貞行為の回数、不貞行為に及んだ場所、不貞行為に及んだ日時など不倫の内容を詳細に記録しているほど、証拠価値が高いと考えられています。
自白を聞いていた第三者による証言は証拠とは見なされません。友人が自白を聞いたという証言が証拠になるだけであり、第三者の証言が決定的な証拠になることはありません。よって、第三者が聞いていたとしても、証言だけで浮気を立証することはできず、基本的には「浮気を立証する証拠のひとつ」と扱われます。
自白を強要された場合は、証拠として取り扱われません。暴力や職場への告発などを理由にした強要により、浮気を自白させられるケースもありますが、強制された自白は自分の意思で発言していないことから、信ぴょう性に欠けると判断されます。ケースにより、自白を強制した側を強要罪などで訴えることも可能となり、自白をした状況も重要とされます。
浮気を自白した方は、慰謝料請求を受ける前にまずは法律の専門家に相談してください。自白は浮気の証拠になりえるこことから、慰謝料を請求される恐れもあります。すでに慰謝料の請求を受けた方は、支払義務の有無や金額の妥当性などを冷静に判断しなければなりませんが、判断には法律の知識が必要です。法的見解からの判断と適切な解決法を仰ぐために、可能な限り早めに法律の専門家に相談することをおすすめします。