不倫慰謝料が支払えない場合の対処法について、実際の相談事例を基に解説します。今回の事例では借金の返済が理由で支払いが困難な状況ですが、慰謝料の負担を軽減させるための方法は残されています。減額や分割払いの依頼などが方法として考えられますが、負担軽減実現のためには、誠実に適切な対処を行っていくことが欠かせません。
ご相談の経緯をご紹介します。
ご相談者は、出会い系サイトで知り合った既婚女性と約3か月間にわたり不倫していた30代・独身男性です。女性の夫に不倫が知られることとなり、慰謝料200万円を請求されていますが、Aさんには借金があり日々の生活すら切り詰めている状態です。払わなければならないと考えているものの、対処方法がわからずご相談に訪れたという経緯でした。
ご相談者様の疑問は「経済的な理由で、慰謝料を払いたくても払えないときはどうすればよいか」です。反省し支払いを行ないたいと考えおられましたが、金銭的な余裕がないことから慰謝料を払うことができず、相手に誠意を伝えられないと悩んでいました。しかし、経済的な理由で慰謝料を払えないとしても、いくつか対処法は存在します。
慰謝料を減額交渉し、 可能な限り分割で支払うことを提案してみる。現在の経済状況を真摯に説明することでお相手も譲歩を示す場合があります。
借金などで慰謝料を払えないときは、次のように対処することができます。
慰謝料の減額を申し出ることが1つ目の方法です。慰謝料は請求金額をそのまま払わなければならないものではなく、適切な金額より高額であると感じる場合や、払える現金が手元にないときは、減額を申し出るための交渉をすることができます。一般的に経済的な問題は、減額を認めてもらいやすい理由といわれており、金銭的に切迫している方は、現在の経済状況を説明することで解決への糸口が見えることもあるでしょう。請求者は具体的な金額を提示されなければ検討できないため、併せて支払える上限額について説明してください。経済的な問題を抱えていても、慰謝料支払義務を消滅させることはできないことから、交渉をスムーズに進めるため、常識的な金額を提示することが重要です。
一括で支払えない場合、分割払いを申し出ることもできます。慰謝料の金額を決めたうえで、交渉により毎月の支払い額を設定する方法です。ただし、慰謝料の支払いは一括払いが基本であり、支払いが滞る可能性があることから、分割払いの申し出が必ず了承されるわけではありません。支払いが滞るリスクに備えて、支払いが滞った際に裁判を経ず財産の差し押さえが可能となる「公正証書」により示談書を作成することもあります。差し押さえなどのリスクも踏まえたうえで、検討を進めなければなりません。
すべての交渉は、誠実な姿勢が大前提となります。経済的に切迫している場合、減額や分割払いを申し出ることは可能ですが、相手の譲歩がなければ実現しません。譲歩を引き出すために欠かせないのが、謝罪と丁寧な説明です。誠心誠意をもって謝罪し、経済状況に問題があることを丁寧に説明することで、こちらの申し出を受け入れてもらえる可能性が高まると考えられます。
経済的な問題で慰謝料を払えない場合は、法律の専門家に相談をすることから始めてください。そして真摯に説明し交渉することで、減額や分割払いを受け入れてもらえる可能性が現れてくるため、借金などがある方もあきらめず交渉しましょう。交渉の方針を決めるためには、支払義務の有無や請求金額の妥当性を判断することが必要です。適切な判断と今後の対処法を知るためには、法律の専門家に相談してください。