不貞行為がなくキスだけで慰謝料を請求された事例における解決法をご紹介します。キスは法的に「不貞行為である」と判断されませんが、絶対に慰謝料請求権が発生しないというわけではありません。キスで慰謝料を請求された方は、今回の解決事例を参考にし、支払義務の有無や請求金額の妥当性を正確に判断するようにしてください。
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ご相談の経緯は次のとおりです。
ご相談者様は会社の上司と5か月程度、親密な関係を持っていた30代・独身女性です。過度に親密な関係を持っていたことが上司の妻に知られ、不貞行為に基づく慰謝料150万円を請求されたことがご相談の経緯でした。不倫相手の男性は、妻に肉体関係はもっていないがキスはしたと説明しています。
今回の慰謝料問題は次のように解決しました。
最初に、誤解を招く不適切な行為があったことを謝罪しています。誠心誠意をもって謝罪することで、相手の怒りを鎮め話し合いを進めやすい環境を作りました。
謝罪とあわせて、不貞行為に及んでいないことも説明しています。不貞行為とは、婚姻関係を結んでいる者が、配偶者以外の異性と自分の意思で肉体関係をもつことです。ご相談者様と不倫相手である上司は、キスのみの関係であることから不貞行為には及んでいないといえます。
不貞行為に及んでいないことに基づき、慰謝料の減額交渉をしました。相場を考慮すると慰謝料150万円は高額すぎると考えられたことから交渉を行ない、交渉の結果、慰謝料30万円の支払いで問題解決に至っています。
既婚者とキスをした場合の慰謝料の相場は次のとおりです。
不貞行為に基づく慰謝料の相場は50~300万円程度です。不貞行為が発覚した後もそのままの夫婦関係を継続する場合は50~100万円、別居した場合は100~200万円、離婚した場合は200~300万円程度とされています。
不貞行為がなくとも、慰謝料請求が認められるケースもあります。もちろん、慰謝料の請求が認められないことも多々ありますが、過去には、不貞行為に及んでいないにも関わらず、慰謝料の請求を認められた判例もあります。慰謝料請求を認められる理由は、キスをはじめとした行為が夫婦の権利を侵害すると考えられるため。肉体関係をもっていなくても、夫婦の権利を侵害する行為が認められられた場合には、「不法行為」が成立する可能性はあります。
不貞行為がない場合の慰謝料は、低額になる傾向があります。具体的な金額は個々の案件により異なりますが、特別な事情がない限り相場より高くなる可能性は低いといえるでしょう。妥当な金額を知りたい方は、法律の専門家に相談してください。
配偶者以外の異性とのキスを理由に慰謝料を請求されたなら、法律の専門家に相談することをおすすめします。不貞行為がなくとも、慰謝料請求を認められることはありますが、慰謝料の相場は、不貞行為に及んでいた場合に比べて低額になる傾向があります。金額の妥当性に加え、支払義務の有無を適切に判断し、問題を拡大させないためには、法律の専門家に相談することが欠かせません。相談をすることで、現在の状況に応じた最善の解決法を知れるはずです。