相談事例を元に、不倫慰謝料請求から示談交渉を経て、和解に至るまでの流れを解説します。不倫慰謝料問題を解決するためには、裁判と示談交渉の2種類の方法がありますが、不倫の事実を内密に処理できるなどの利点から、多くの場合で示談が選択されます。示談交渉を円滑に成立させるために、大まかな流れを知っておくことは非常に重要です。
ご相談の経緯についてご紹介します。
ご相談者様は、出会い系サイトで知り合った女性と2年間にわたり不倫をしていた30代・既婚男性です。ご相談者様は女性の夫に不倫が知られて、慰謝料300万円を請求されていますが、裁判を起こされると家族に不倫していたことが知られてしまうため、裁判外で和解したいと考えご相談に来られました。
ご相談者様の疑問は、「不倫で和解する場合、どのような流れで話し合いが進むか」です。最初に全体像を見据えたうえで、相手との話し合いを進めていきたいと考えています。全体像がわかれば、次に何をするべきかがわかるため、非常に効率の良い考え方といえるでしょう。和解までの流れはどのようになっているのでしょうか。
示談交渉から和解までの流れを解説
慰謝料請求から和解までは、次の流れで進みます。
1.示談交渉
2.和解成立・和解書の取り交わし
3.慰謝料の支払い
各段階で意識するべき事由は以下の通りです。
不倫の慰謝料問題を解決するため当事者で話し合いを行うのが示談交渉です。直接話し合いをすると条件を調整しやすいものの、感情的になり話し合いが決裂することもあります。何らかの理由で対面を避けたい場合は、書面やメールでのやり取りでも話し合いを進められるため、話し合いの進め方は当事者間で決めるとよいでしょう。
話し合いでは和解の条件を検討します。具体的には、慰謝料を支払う必要性、慰謝料の金額、慰謝料の支払い方法、慰謝料の支払い期限、不倫関係の解消などについて話し合います。以上に加え、他人に口外しないこと、不倫相手との接触禁止などについて取り決めを行うこともあります。
双方が条件に合意すれば、話し合いの内容をまとめた和解書を作成します。和解書はどちらが作成しても構いませんが、一般的には自分で作成する方が有利な内容に導きやすいといわれています。和解書が完成したら相手に提示して確認を求めます。記載されている内容に納得できない場合は条件を再調整し、条件のすり合わせが終わった時点で和解書を取り交わしてください。和解書に双方が署名と押印することで和解は成立となります。
和解が成立したら、双方で決めた条件に従い慰謝料を支払います。慰謝料の支払い方法は個々で異なりますが原則は一括払いとされ、双方が合意すれば、分割払いにすることもできます。できる限り早く問題を解決したい方の中には、和解を待たず慰謝料を払いたいと考える方がいるようですがおすすめできる方法ではありません。慰謝料を支払ったにもかかわらず和解が成立しないなどの問題に発展しかねないことから、慰謝料は和解の成立を待って支払うようにしてください。
不倫の慰謝料請求から和解に至るまでの流れは以上の通りですが、法律の専門家に相談した上で進めることをおすすめします。不倫慰謝料問題は当事者だけで解決することもできますが、法律の知識がないとスムーズに和解に至らないことや一方が不利な条件で和解せざるを得ないことなどが考えられます。不倫の慰謝料問題を穏便に解決したい方は法律の専門家に相談しましょう。和解に導く条件の提示方法や話し合いの進め方などを提示してもらえることから、問題を早期解決させるために有効です。