不倫の慰謝料の支払い請求は財産分与で相殺することができます。実際に相殺を認めた裁判例もあります。
財産分与とは、婚姻期間中に形成された夫婦の財産を離婚の際に双方に分配することをいいます。財産分与には以下の種類があります。
清算的財産分与は、夫婦が形成してきた財産を双方に分配するもので財産分与の中心となるものです。離婚原因が不倫であっても分配方法に影響はありません。
扶養的財産分与は、離婚により配偶者の一方が困窮しないように認めるものですが、専業主婦や病気等の事情がある場合にかぎり与えられます。
結論から言うと、財産分与と不倫慰謝料請求を相殺することは可能です。実際に過去の裁判例でも、夫から妻への慰謝料支払い義務を認定した上で、妻から夫に対する財産分与に関しては慰謝料額を差し引いて支払うことを認めたものがあります。ただし、実際に慰謝料と財産分与との相殺が認められる前提として、離婚が成立しており財産分与の金額などについての協議も完了していることが必要です。
裁判をせず話し合いで慰謝料や財産分与について決める場合には、慰謝料を財産分与との間で相殺して処理することが多いと思われます。相手が納得していればあまり問題にはなりませんが、もし理解を得られないようであれば話し合いの進め方について法律の専門家の無料相談窓口に相談してください。