同棲相手から浮気慰謝料を請求された相談事例を元に、支払義務の有無について解説します。婚姻関係を結んでいない同棲状態では、慰謝料を支払う法的義務はありませんが、関係性により支払義務が生じる場合も存在します。慰謝料請求権はどのような関係性において発生するのか、事例を元に学びましょう。
目次
ご相談の経緯についてご紹介します。
相談者は交際期間2年、同棲期間半年のパートナーに浮気が知られた20代・独身男性のAさんです。ご相談者様とお相手は、同棲期間中に浮気が発覚したことから破局。その後、ご相談者様は元パートナーから浮気の慰謝料を請求されて困っているとのことで相談に来られた経緯です。
ご相談者様は、「同棲していた彼女から浮気慰謝料を請求された場合、支払わなければならないか」と不安に思われていました。婚姻関係にある2人は貞操義務を負っており、浮気や不倫が不法行為と判断されることから、浮気や不倫をした場合に慰謝料を払わなければならない可能性があります。しかしご相談者様は、同棲していたもののまだ結婚していません。浮気で慰謝料を支払わなければならないのでしょうか。
自由恋愛の関係である場合には、慰謝料を支払う法的義務はありません。
慰謝料支払いの必要性について、以下のように考えられます。
同棲していた女性が単なる恋人であれば、慰謝料を支払う法的義務はないと考えられます。婚姻関係にある人が浮気や不倫で配偶者に慰謝料を支払わなければならない理由は、配偶者が有している平穏な夫婦生活を送る権利を侵害してしまうためです。婚姻関係を結んでいない2人に配偶者が有する権利はありません。よって、同棲中に浮気をしたとしても、慰謝料を支払う法的義務はありません。
結婚していないものの婚約していた場合は、慰謝料の支払義務が発生する可能性があります。婚約は口約束で成立しますが、法的に認められるには、婚約指輪を贈っている、周囲の人へ報告している、結納を済ませているなど、客観的な事実を求められることが多いようです。第三者から婚約していると判断される場合は、同棲期間中であったとしても慰謝料を支払わなければならない可能性が生じます。
内縁関係の場合も、慰謝料を支払わなければならない可能性があります。内縁関係とは、婚姻の意思はあるものの婚姻届けは提出せず、一般的な夫婦と同じ生活を送っている状態。内縁関係のカップルには、婚姻関係にある2人とほぼ同じ保護が与えられることから、浮気や不倫をした場合、慰謝料支払いの義務が生じます。内縁関係は、仕事などで実質的な夫婦として扱われている、生計を一にしている、同居期間が長いなどの要件により認められます。
同棲相手から浮気慰謝料の請求を受けたら、まずは法律の専門家に相談してください。単なる恋人であれば、浮気をしたとしても慰謝料を支払う法的義務はないと考えられますが、婚約状態にあった場合、内縁関係といえる状態だった場合は、慰謝料を支払わなければならない可能性があります。同棲相手から慰謝料を請求された方は、慰謝料を支払う必要性、請求金額の妥当性などを検討する必要がありますが、判断には法的知識を要します。一人で対処できない方は、法律の専門家に相談してみてはいかがでしょうか。個々の事情にあわせた最適な解決策を検討してくれます。