隠し子が発覚した事例における慰謝料支払いと認知について - 慰謝料請求ホットライン

隠し子が発覚した事例における慰謝料支払いと認知について

隠し子の発覚により慰謝料を請求されたという方に向けて、慰謝料請求金額の相場や隠し子の認知について解説します。

隠し子が発覚した場合、認知・養育費・離婚・慰謝料などを請求される可能性があり、多大な負担を強いられかねません。

双方が納得し得る解決へと導くためには、事前に情報を備え、最も適切な対応を取ることが重要です。

事案の概要

不倫相手から隠し子の認知を求められ、妻から離婚と慰謝料を要求された既婚男性の事案です。

既婚男性であるご相談者様は、3年ぶりに過去の不倫相手から連絡を受けましたが、連絡内容は「子供がいるから認知してほしい」というものだったとのこと。

ご相談者様自身も子供がいることを初めて認識しましたが、認知を求められたことにより、隠し子の存在が妻に知られてしまいました。

そして、ご相談者様は妻から離婚の要求と慰謝料の請求を受けることとなり、今後の対処法についてご相談に来られました。

隠し子と認知について

不倫相手との間に生まれた子供の認知について解説します。

認知とは

認知とは、父親が「自分の子供である」と認めることです。

父親が自ら自分の子供であると認めることを「任意認知」と言います。

婚姻関係にない男女の間に生まれた子供には、法的に認められた父親が存在していません。

子供が法的に認められた実父を得るためには、父親が非嫡出子を自分の子供であると認め、認知の手続きを行う必要があります。

隠し子を認知したときの効力

非嫡出子を認知した際には次の4つの効力が発生します。

父に扶養義務が生じる

隠し子を認知すると法的な親子関係が成立し、父親には隠し子の扶養義務が生じます。

認知により父の戸籍に登録されることで法的な親子関係が成立し、扶養義務に従い、子供の母親は父親に対して養育費の請求を行うことが可能となります。

民法に定められているとおり、養育費の請求は子供が出生した時点まで遡って行えます。

(認知の効力)

第七百八十四条 認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできない。

出典:e-Gov:民法

もちろん、父親が子供の監護養育を行う場合は、母親に対して養育費の請求を行うこともあります。

以上のように子供の認知は、子と法的な親子関係が認められることにより、子に対する扶養義務を発生させます。

父の財産に対し相続権が発生する

非嫡出子の認知は、父の財産に対する相続権発生の効力も発生させます。

相続権の取得は親の遺言により実現することも可能とされており、遺言により行う場合は、親の死亡時に認知が実現され効力が発揮されます。

認知により法律上の親子関係が認められることから、隠し子は父親の財産を相続する権利を得ることになり、他の相続人に対し財産の分割を要求することが可能です。

子の親権者になることを求められる

父が隠し子を認知した場合、母から親権者となることを要求されるケースがあります。

非嫡出子の親権は母が単独で負うものとされていますが、認知により法的な親子関係が発生した後は、協議により父を親権者とすることも可能です。

協議によるため認知により必ず親権者と定められるわけではありませんが、母から要求があった場合は、親権者となる可能性もあります。

子が父の氏を称する

非嫡出子を認知すると、子が父の氏を称することが可能です。

法律上の親子関係が認められる以前と同様、母の氏を称することもできますが、家庭裁判所の許可を得ることで、子の氏を父の氏へと変更できるようになります。

隠し子の認知を拒否した場合の強制認知

隠し子の認知を拒否した場合、「強制認知」が行われる可能性があります。

強制認知とは、裁判によって強制的に認知を行わせるというものであり、強制認知の判決が下ると、認知を行ったときと同等の効力が生じます。

ただし強制認知を行うためには、子供と父親との親子関係を証明しなければならないため、DNA鑑定などで客観的に親子関係を証明するための証拠が必要です。

そのため、法的には強制的に認知を行わなせることができますが、父親側の協力がない限り、親子関係を立証させることは困難であると考えられます。

隠し子の認知を拒否することは可能ですが、拒否した場合は強制認知の可能性が発生することを知っておいてください。

認知請求権の放棄について

認知を拒否したい場合、認知請求権を放棄させる方法もあります。

認知請求権の放棄は、男性が女性に金銭を支払うことと引き換えに、認知請求権を放棄させるという合意により行われるものです。

ただし、男女間で行われた認知請求権の放棄は、法律上は無効になる可能性が高いのが実情です。過去の判例によると、「子供の認知請求権は放棄不可である」とされた例が多く、女性が認知請求権の放棄に合意しても、子供による認知請求権は放棄されないと考えられています。

本来「強制認知請求権」は子供の母親が持つものではなく、子供が生まれながらに持っている権利であり、母親と言えど放棄させることはできません。

認知請求権の放棄により、母親からの認知請求を退けられる可能性はありますが、子供から強制認知請求が行われる可能性は捨てきれません。

隠し子が発覚した場合の妻に対する慰謝料相場

隠し子が発覚し離婚に至った場合、妻から請求される慰謝料の相場は、150~300万円程度とされています。

慰謝料の金額は個々の事由を鑑みたうえで決定されるため、夫婦の関係性や支払者の資力、不貞行為の継続性などにより決定されますが、非嫡出子が存在していることは一般的な事案と比較して増額される要件となり得ます。

一般的には150~300万円が相場だと考えられていますが、その他の離婚事由により相場より高額になる可能性も否定できません。

どのように解決したか

ご相談者様は元不倫相手の要望を承諾したものの、奥様との離婚の危機と慰謝料の支払いは免れました。

ご相談者様は隠し子が発覚した後すぐに当事務所に相談に来られましたが、当事務所からは認知の法的効力や手続き、相応な養育費について、離婚の慰謝料・財産分与等の法制度についての疑問を解決し、不倫相手のお子様が間違いなくご相談者様のお子様であることを確認した上で認知は行ったほうが良いこと、奥様には誠実に事実を伝えて話し合われるべきとのアドバイスさせていただきました。

結果として、後々ご家族に隠し子問題が露呈して、問題が大きくなることを避けるべく、ご相談者様は自ら隠し子の存在を認知し、相応な養育費の支払いを不倫相手の女性と誓約。

そして奥様には不貞行為の事実を説明し、真摯な謝罪をするとともに今後は同様の不安や隠し子の存在で負担をかけることをしないと誓約することで、奥様から離婚と慰謝料の請求を取り下げていただけたとのことでした。

「将来的に不貞行為を行った場合は慰謝料とともに違約金を支払う」という内容の夫婦間の合意書を交わしたことも功を奏したと考えられます。

隠し子発覚で慰謝料を請求されたらすぐに相談を

隠し子が発覚して慰謝料を請求された際には、一人で不安を抱えることなく、すぐに法律の専門家に相談されることで、疑問を解消し、適切な解決策が何かを知ることができます。

場合によっては、認知・養育費支払い・離婚・慰謝料支払いという4つの負担を強いられかねませんが、請求金額の妥当性や話し合いの進め方は個々の状況に応じて変わります。

そのため、慰謝料の請求を受けた際には、まずは法律の専門家に相談されることをお勧めいたします。法律の専門家の無料相談窓口に相談を行うことは、自分が取るべき最善の行動を判断することと、自らが背負う負担を軽減させることにもつながります。迅速に相談をし、慎重に対応しましょう。

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